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『文字魔法×印刷技術で起こす異世界革命』藤春都

 

 手にしたときはどこまでアカデミックな話になっているのかそのタイトルを見て考えたけれど、「これは……」と読んだ後にゆっくり本を閉じるこの感じ。なにを言わんとしているか、印刷というアイデアがあって、そこからきっとインキュナブラや活版印刷ということが沸いてきたのだろうけど、これはラノベですとごっそり削り取られたというところがあるのかないのか。エロ本を刷って異世界を救う、という話である。突飛であるところがラノベ、ただし印刷技術という点については押し黙る他ない。「印刷技術」をどうしても出したかった理由がアイデアとして思いついたから以上の熱意が全く伝わってこない。

 文字が禁じられた世界で男がエロ本に熱狂する……それが少なからず主人公の行動にプラスになって、と話は展開していく。ちゃぶ台をひっくり返すのはこの辺り。さすがに無理があるだろうと思いつつ、この世界が抱える困難(それこそ文字を禁忌とする理由などなど)が薄く思えて、「世界を変える」行動に対して、へぇそうなんだ、という感想。印刷技術ではあるけれど、本を刷るということに障壁がなさ過ぎて、エロ本をばら撒くテロ(エロで釣って識字率を上げるという敵対組織から見たテロ行為)を行うことが簡単に達成できてしまっているのも気になる。

 振り返ってみると異世界から来た男が、異世界でエロ本作ってエロ本をばら撒くだけの話になってしまっているのは残念。

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